Tokyo Green

No Mountain , No Life.

コロナ禍後の登山サークルの考察

約7分

こんにちは、登山サークルTokyo Greenです。

2022年も早いもので半分が経過しようとしています。
当サークルも活動を再開して2ヶ月が経過し、5月から新しい入会者の方が入り登山企画に参加し始め、
ようやく3年ぶりに例年の活動を取り戻せそうだという実感が湧いてきています。
登山のシーズンを夏と考えるともう少し先ですから、登山サークルとしてはむしろこれからがシーズン絶頂期です。

サークル設立から丸6年目を迎え、7年目、そして10年目が目前にせまったこのサークルの今後や、登山界はどうなっていくのか?
サークルとしての「中期計画」なるものを考えている上で、少しさきの予想をただの一登山ユーザーにすぎない自分なりに考察した上で、これから登山サークルに入りたい方へ、「あーこんなこと考えてる人が代表なんだ」というのがなんとなくわかるようなメッセージとしたいと思います。

なお、次回の募集は結局秋頃となりそうですが・・・

このサークルは2016年に開始しました。当時は首都圏の登山サークルというのは、数多く存在していたと記憶していますし、登山を始めるのだったらまずは山岳会かサークルから入るのが最初だろうというのが20代、30代の方のファーストアクションだろうと記憶しています。

しかし、おそらく当サークルのようなアルプスや全国各地までを自分の裁量で仲間を募って登りに行くというやり方はまだ少なかったのではないかと思います。山岳会のような規律や統率、申請、許可、必須の会合のようなものが無い、何方かと言えばラフな運営スタイルと方針が好まれて、一定数の方の支持を得てここまで運営してこれたのではないかと思います。

また一般的なサークルというと、何方かと言えば「イベント色」が強く、ある程度本気で登りたいというサークルの受け皿が少なかったのもこの頃立てたこのサークルの特徴になったのではないかと記憶しています。

このサークルへ入っていただく際には志望動機を書いていただいておりますが、
「登山が好きになっても自分の周りには登る人が少ない、ソロ登山なんです。」
「友人が結婚して仲間が減ったから」
という方が多く、まだまだ山の楽しみを知りたい・得たい・友人関係を広げたい、そういう方が入り、その方自身とサークルがフィーリングが合えば長年所属していただいている、そういう特徴を持つようになっています。

ホームページトップに「一生涯」というフレーズを書いていますが、これも好評をいただいています。
おそらく入った方達の一部はそういう一生涯の友をすでに得られたのだろうと側から見て感じています。

コロナ禍までは、登りたいなって方達が集まりそれなりに登山会を開く方が増えていければ、ある程度サークルは自走するだろうという考えでいました。

しかし2020年の新型コロナウイルス問題により、まず登山界が大きく変わる変革期に入ったと感じます。
特に登山の際に拠点となる山小屋の宿泊料金はいよいよ「平均1万3千円」と、私が登山をはじめたころよりも4000円近く値上がりしています。
もちろん宿泊人数を半分〜1/3までに減らした故でもありますが、それでも彼らの年間収支計画を大幅に狂わせることになっているはずです。

また、北アルプスの一部では入山時の登山道整備協力金という費用負担の実験もスタートし、少しずつアルプス登山に費用のハードルが上がる事態が訪れようとしています。これがコロナ禍後に少し緩和するかは定かではありませんし、また、別の事象として世界的なインフレによる影響も必須と考えると、今後さらに登山に対しての費用面は増加する傾向だと思われます。

そうなれば日本人の登山者数はさらに減り、登れる人と登りたいけど登れない人の二極化が進む気がしています。一方でコロナ禍後、現状の円安を活かして観光立国を再度リスタートするであろう日本にとって、登山界としても海外からの登山客を呼ぶアプローチが増加するのではないか?と思っています。日本の南北中央アルプス・その他の山域などの登山資源が世界に誇れる観光資源かどうかは私は残念ながら詳しくありませんが、例えば登山にプラスして外国人に食文化や町体験をセットでアピールするような山小屋、観光ツアーなども増えるのではないか?なんて妄想をしています。なお日本の観光資源は、世界的には全然活かしきれていないそうです。つまり、まだまだ潜在チャンスが眠っているという話です。私たちサークルが外国人を受け入れるかは、遠い話な気もしていますが…(汗)

外人さんの来訪数が増加するかはさておき、コロナ禍後も登山費用が減らないのであれば、テント泊・素泊まり客の増加が考えられると思います。食費節約のためにフリーズドライの需要が増えたり、食の保存方法も新しい商品が出そうな気もしています。フリーズドライもどんどん美味しいものが増えていますから、山小屋さんには厳しいと思いますが、恐らく登山客は可能な限り節約に走るだろうと思います。
日本は残念ながら給与が上がりにくいですからね・・・余暇に回すお金は自然とすくなくなると思います。
節約というと、こういうコミュニティの強さは自動車交通費は割り勘で行けるというのが、唯一の費用増加回避の手段です。
ソロ登山ではなく、わたしたちのようなサークルに入られる方は、そういう点に期待して入ってくるのも1つあるのではと考えると、山好きな方から見れば、もうしばらくは登山サークルの需要はあると考えています。

私はエンジニア職ですが、オンライン会議などによるリモートワークなども経験をしています。人とのリアルでの会話の機会も減ったことで、逆にこういうコミュニティに入って人との接点を持ちたいという方が増えているようです。先日春入会応募募集の際も非常に多くの方から応募リクエストをいただきました。「コロナ禍から登山を始めました」、そういう若い方がどんどん増えている傾向ではあります。このサークルだけを見ればですが・・・
コロナ禍でもう2年も我慢したから「誰かと関わりを持ちたい」、そういう欲求がいよいよ爆発的に増えてくるのでは?
思えば登山中だけはマスク外してますよね、顔がきちんと見れる、そういう「当たり前」のことができるのって今だと登山だけかもしれません。
慣れてしまったけど、マスクばっかりの世界なんてどう考えても変ですから。

「登山サークル」がいつから世の中に出てきたのか知りませんが、このサークルのような首都圏で活動しているサークルは、まだメンバー集めに苦労はしないと思いますが、若い方の人口減少がいよいよ現実になる中で、若い方で登山をやりたいという方の総数は減っていると思っています。どんなサークルも、あの手この手で「うちは楽しい!」というアピールが益々必要になってくると思います。

また、一方で『組織離れ』も感じています。インスタグラムやTikTok、Youtubeで個人でのアピールが強いインフルエンサーの登場や、そこまで到達せずとも一定の登山スキルを持つ人にとっては、自分でメンバーを募ることが容易にできるようになった時代にもなり、山岳会・サークルに所属することは不要な人が少しずつ増えているのではと…サークル自体もそろそろこのままではいられない時代がそう遠くない未来にやってくると思っています。
詳しい人は自分から人を得られる時代、Yamap見たらろくに調べなくても登れる、今までの組織所属は不要って感じですね。
アプリでも山に登れる人を募ったりも出来るでしょうし、SNSの発展直前に設立された当サークルは、少しずつネットの進化による影響を受け始めると感じています。

こういうふうに今後のサークル存続や登山界の個人的予想を考えてはいるものの、正直サークルは非営利団体ですし、私もこのサークルでご飯を食べて生活しているわけではないので、登山界の問題だけを常日頃自分ごとのように考え続けるのは難しいです。

しかし、6年も運営していると登山界の事象は勝手に自分ごとに昇華しているようで、このサークルを立ち上げたことで得た数多くの人との関わりへの感謝を考えると、少しでも登山界に、チッポケだし知名度はないし山岳会からしたら「適当だろ?」など聞こえてきそうですが、何かしら登山界に貢献出来るようなコミュニティへの成長が必要になると思っています。自分達は何不自由なく登山をしていたあのアルプス・北海道・八ヶ岳…10年後はどうなっているのでしょうか?

これからの登山サークルは、山登りにプラスした「何か」を得られる場、他との関わりも意識しないと、もうそろそろ「限界」も近いのではと思っています。

こう書いたものの、じゃあ何かあたらしいアプローチがあるのか?については、まだ目新しいことはありませんが、もし2029年までサークルが存在していたら、2016年に設立した頃とは違った進化を遂げた『コミュニティ』への進化を目指して、進んでいきたいと考えています。

コロナ禍で分かったことは、「諦めたらそこで試合終了だよ」「続けていたら、またいつか光が見える日が来る」
ちょっとずつですが、そんな夜明けチックを、今感じているところです。

それでは、また次回更新で!

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